子どもたちとのコミュニケーションで、子どもが一番喜ぶのはスキンシップでしょう。それは抱っこであり、いっしょに遊ぶことだと思います。そんなスキンシップが描かれた絵本もずいぶん古くから出版されていてロングセラーになっているものもありますが、最近赤ちゃんに圧倒的な人気を誇るのがこの「くっついた」です。
「くっついた」が出版されたのは2005年ですから、まだ12年とそう古くはありません。でも発行部数は既に80万部を超えているという人気ぶりです。単純な場面展開で、まず見開きで「○○さんと○○さんが」で始まり、ページをめくると「くっついた」の繰り返しです。「いないいないばあ」と同じですね。この繰り返しの単純さが、赤ちゃんには心地よいのでしょう。そして絵本の延長として「いないいないばあ遊び」のように「くっついたごっこ」が始まるのです。まさに親子が笑顔になれるスキンシップです。
この絵本の特徴的なことは、お父さんにも好評だというとです。それは最後の場面で「おとうさんもくっついた」が出てくるからでしょう。どうやって赤ちゃんに絵本を読んであげたらいいのかわからないと戸惑うお父さんも少なくありません。そんなお父さんに最適な絵本と言えます。「くっついた」は著者の三浦太郎氏の実体験から生まれたものですが、他にも「おうまさんしてー!」や「ゴリラのおとうちゃん」(いずれもこぐま社)の三浦作品はスキンシップ満載のお父さんが大活躍。一度手に取ってみてください。
文 吉井康文